躍動する福女大(FWU on the Move)
福女大生、未来をつくるのはあなたです(Shape the Future)
福岡女子大学は2023年に創立100周年を迎えました。大正デモクラシーのうねりのなか、福岡の女性たちが自ら声をあげ、女子高等教育とそれに相応しい職業の機会を求め、福女大創設の端緒を開きました。全国に類を見ない行動です。その気概が大河のごとく伝統の中に流れ、時代折々の変化を先取りしながら変革を重ねて、今日ある姿にまで発展してまいりました。その過程で、特筆すべきは2011年の大学改革であります。従来の2学部(文学部と人間環境学部)を一つに統合し、他大学に先駆け、〈文理統合〉、〈グローバル教養〉、〈言語教育〉、〈体験学習〉、〈海外留学〉、〈国際学友寮での共生〉に力点を置く国際文理学部を創設いたしました。小規模ながら、教育と研究に意欲旺盛で、新学部の名に相応しい、学生中心のアカデミック?コミュニティを構成することができました。その成果は、「THE日本大学ランキング2023」において、日本の全大学中45位、74ある女子大学中2位という評価に表われています。この評価を高めるには、社会が求める人材像を過不足なく理解し、教育体制や授業内容を絶え間なく見直し、更新することだと心得ます。
「次代の女性リーダーを育成」は建学以来の基本理念であり、大学の矜持であります。リーダー育成は世界の教育機関が等しく掲げる課題となっています。しかし、ここ福女大には固有の教育システムと環境があり、学生にはそれを享受する各種の特権があります。4年間の学修期間のなかで、体験と実践そして国際交流に裏打ちされるグローバル教養を身につけ、しかるべき時、しかるべき場で修得した専門知を発揮するよう支援する体制を敷いています。そして今、100周年を機に、2つの研究センターを設置しました。一つは女性を含め多様な価値観を持つ者が活躍できる社会を目指す、象徴的な組織としての「女性リーダーシップセンター」であり、いま一つは地域に潜在する食と栄養の課題を広く、深く探究し、その知見と解決策を世界に発信する施設としての「国際フードスタディセンター」であります。
イギリスにおいて、女性教育の成果が実をみた例として、エリザベス一世(1533-1603)があげられます。エリザベスの父ヘンリー八世に重用され、そして放逐された人文主義者トマス?モア(1478-1535)が、自身の娘4人に始めた家庭教育の方針が、王女にも適応された結果です。その方針とは、ことばの教育(文法と修辞)に加え、科学、天文学、論理学そしてギリシャ?ローマの古典教養を修めることでした。文と理とを分けることのない‘science’であり、意思決定を行う礎となる‘global education’です。福女大というアカデミック職能集団から、豊かな人間性とともに深い教養と行動力をあわせ持ち、分断や格差で語られるこの社会の様々な場面で、果敢に挑む才能が生まれ出ることを願うものです。