「地域共創論」(1年生対象 湯田ミノリ先生担当)のゲストスピーカーシリーズ今年度最終回となる第4回目は、仲間 浩一さん(トレイルバックス 代表)に、九州ならではの景観や資産と結びついた魅力、つまり「地域らしさ」を生かしたまちづくり活動や活性化の方策が求められている中、地域の暮らしに向き合い住民とともに解決に取り組む面白さをお話しいただきました。
「風景通訳家」として活躍される仲間さんは、元々国立大学の工学系教員として景観デザインや地域計画、まちづくりを専門として研究や学生の教育を行い、学生のインターンシップ活動の支援なども行っていたそうです。当時大学教員として携わった地域と、個人事業主として現在関わっている地域の事例を基にお話が進んでいきました。
まず最初に「地域の魅力」とは何でしょう、という問いから始まりました。地域の魅力は見る人によって異なりますが、様々な事例やエピソードから、地域振興するにあたり、そこに住む人たちの子どもや孫の暮らし、将来を見据えて考えていくことの大切さを聞きました。
お話の中で印象深かったエピソードが、地域別の事例の一つとして長崎県平戸市にある春日集落におけるマップ作成について聞きました。作成にあたり、住民とのヒアリングや会議を幾度となく繰り返し、観光ではなく、暮らしの様子についての情報を入れることに注意を払ったとのこと。またマップに使われた色は5色のみで、実際に春日集落内の自然に存在する色を使用しているとのことです。実際に現地に赴き、その色を探してみたくなりました。
また、次の事例では熊本県阿蘇郡小国町の車が入れない一部の路地では階段だった坂道は、救急看護者を運ぶ際、ストレッチャーがスロープを使って入れるように半分スロープにし、残りは元の階段を残したとのこと。高齢化が進む地方ならではのまちづくりですね。「ずっとそこで生き続ける人たちの立場から物事を見る」という言葉が心に残りました。
最後の事例は熊本県阿蘇市におけるスポーツ(特に自転車)を活かした観光のあり方について聞きました。仲間さんが関わるまちづくりのひとつに、まずは地域の人がスポーツを楽しむことから、外からの人を迎えることにつながるのだと聞き、どの事例も自分の価値観を押し付けるのではなく、「地域の人の立場になって物事を見ること」「そこに生き続ける人のことを考えること」の大切さを強く感じました。本学でのインターンシップ先に人口減少が進む地域が活動場所となっているところもあり、今後学生がその場所でどう感じ、研修を終えるのか非常に楽しみでもあります。