平成31年度 福岡女子大学第70回入学式及び大学院第27回入学式 式辞
福岡女子大学に合格され、大学という新しい経験への挑戦に意欲を燃やしている皆さんの満足感と達成感を私は直に感じています。「次代の女性リーダーを育成」を建学の精神とする福岡女子大学の一員になられた学部学生244名、大学院学生18名の皆さんを、心より歓迎致します。本年度の入学式は、大学会館の都合で「なみきスクエア」で挙行することになりました。福岡女子大学の入学式はキャンパスでという方も多かったと思います。
また、公務ご多用にもかかわらず、入学式にご臨席賜りました福岡県副知事 服部 誠太郎様、福岡県議会 議員 長 裕海様、福岡女子大学 同窓会 筑紫海会 会長 矢野 芙美子様をはじめ、ご来賓の方々に福岡女子大学を代表し、厚く御礼申し上げます。本年度の入学式には、皆さん達の激励のため、先輩の方々に御出席をいただいております。本年度は、福岡女子大学第16回に卒業された方々2名です。さらに皆さんの入学を激励するために米国から駆けつけて下さいました、スペルマンカレッジのメアリー?シュミット?キャンベル学長に、厚く御礼申し上げます。さらに荘厳な入学に相応しい演奏をしていただいた九州大学フィルハーモニーの皆様に感謝致します。
本日の式辞を述べる前に、昨年の西日本豪雨災害を始めとして各地で被災されたご家族の方々にお悔やみを申し上げます。完全な復興に10年かかると言われていますが、未だに回復が順調に進まないことを考えると、心が痛みます。
本日、学生の皆さんが晴れの入学式に出席しておられるのは、入学試験という困難な選別競争を突破された皆さん自身の努力によることは間違いありませんが、今日まで物心両面から皆さんを温かく支えていただいたご家族のご恩を忘れてはなりません。皆さんは若いが故に何事も自分で出来ると思うのは良いことですが、皆さんの現在の晴れ姿は、周りの多くの方々の経済面、教育面、あるいは精神面からの、計り知れない程の多くの支援によるものです。
ここで、福岡女子大学の歩みを説明しましょう。福岡女子大学は、1923年(大正12年)に福岡県立女子専門学校として設立されました。日本で最初の公立女子専門学校です。2度の火災に見舞われましたが、女子専門学校の伝統は、1950年に設立の県立福岡女子大学に引き継がれ、学部?大学院組織を充実させながら、2006年(平成18年)に「県立福岡女子大学」から「公立大学法人 福岡女子大学」へと変遷してきました。さらに、福岡女子大学は、2011年4月より「リーダーシップを持ち、国際的に活躍できる人材育成」という教育理念に焦点を絞った大学となりました。 福岡女子大学は、1923年の県立女子専門学校創立以来、96年となり、2023年に100周年を迎えます。皆さんは、その伝統ある福岡女子大学の一員となられたことに誇りを持ち、勉学、研究、地域?社会貢献、国際活動に励んで下さい。
2011年度から始まった福岡女子大学のキャンパス再整備や教育の質の改善には、目覚ましいものがあります。学内には、福岡女子大学美術館が併設され、多くの美術品を充実させています。福岡女子大学美術館を活用した「感性」授業は、2018年度の第3クォーターよりスタートしました。福岡県の全面的支援のキャンパス再整備も2017年度で終了し、福岡女子大学は、教育の質である「教育力」と「国際深化力」で非常に「知名度」の高い大学になっています。大学ランキングで世界的に信頼されているTimes社が発表している2019年の国内に於ける大学ランキングの女子大学部門では、全国で約800ある大学で総合第46位、約80ある女子大で第2位です。国公私立3大学でトップ争いをしている非常に教育レベルの高い大学です。
福岡女子大学の日本人の1年生は1年間、留学生は4年間、「国際学友寮なでしこ」で全寮制として共同生活することになります。寮は生活の場だけでなく、教育の場でもあります。教育の場としての効果を上げるために、月曜日はアルバイトを禁止し、自己啓発教育日にしております。寮では、毎日の朝の時間を利用した1時間のイングリッシュ?タイムと、月曜日は24時間のイングリッシュ?デイが設けられており、日本語会話が禁止されている等、国際化に慣れる準備のための生活指導を行っています。
「国際学友寮なでしこ」では、外国人留学生率が30%で日本人学生と外国人留学生とが混住し、国際的多様性を理解する様々な仕掛けが工夫されています。卒業までに約70%の学生が外国留学を経験し、現在は34ある学術交流協定校との学生の交換交流を積極的に行っています。そのため、学術交流協定校は教育的に非常にレベルの高い学校を選んでいます。本日、皆さんの入学の祝いと激励のために米国より駆けつけていただいたキャンベル学長のスペルマンカレッジも本学の学術交流協定校の1つです。
皆さんには、この入学を機に「国際的多様性」を身につけてほしいと思います。春学期が始まると、すぐに英語漬けの勉強が始まります。2018年度から1年間を4学期制としたクォーター制の授業が一斉にスタートしました。同じ科目の授業を週に複数回受講することになります。また、福岡女子大学では授業を始める前に、教員と学生が今から学ぶ授業の内容を徹底的に検討し、教員は何を教え、学生は何を学ぶかをお互いに納得した後に、授業はスタートします。クォーター制の実施と教員と学生の授業スタート前の討論の2つの仕掛けにより、授業の理解度が深まり授業内容が理解し易くなります。
福岡女子大学では、他大学があまり行ってない特徴を、福岡女子大学「ユニーク」として実行しています。「国際」の「ユニーク」は、全寮制、海外留学率70%、海外での半年から1年の留学と外国人留学生受け入れ短期留学プログラムのWJC制度、海外高等学校との高大連携等です。「教育」の「ユニーク」は、福岡女子大学美術館を使った精神文化の醸成と「感性」教育、クォーター制、学生自ら授業の理解度をチェックする学修ポートフォリオ、9カ国語を使ったランゲージカフェ、「リーダー?トップリーダー育成プログラム」、学生が大学委員会に所属し、大学運営に直接参加や、文化庁との協同による感性教育等があります。次に、「100周年記念事業」の「ユニーク」は、「女性リーダーシップセンター」と「国際フードスタディセンター」の設立と福女大フィルハーモニーオーケストラの結成等です。
また、2018年度より、国際文理学部の名に相応しい文理統合型教育をスタートしました。文理統合の授業を受けることによって見つかる未知の分野の開拓こそが、教育のイノベーションへと繋がるのです。福岡女子大学では、ワクワクする内容の授業を提供すると共に、勉強せずにはいられない多くの仕掛けを作っています。福岡女子大学の今後の教育に期待してください。
皆さんがこれから福岡女子大学で受ける教育は、受け身でかつ他人から強制される勉強であってはなりません。大学教育には、新しい知識の蓄積、新事実の発見、さらに自分の考えを展開できるという期待と感動がありますが、決して易しく、楽しいことばかりではありません。学問、研究は、専門的で深く追求すればする程、苦しさが増してきます。
抵抗なく何事にも飛び込んで行き、失敗が許されるのは若い時しかありません。新入生の皆さんは、若者の特権を持てる若い新鮮な日々があっという間に過ぎることを自覚して、1日1日を有効に、学生生活が実り多く、有意義となる様心掛けて下さい。福岡女子大学の学生という誇りを持ち、何事にも自分の意見を持ち、積極的、建設的な行動の取れる成熟した社会人に成長することを願って、式辞と致します。
「大学で何を学ぶか」
2019年4月3日
公立大学法人福岡女子大学
理事長?学長 梶山 千里